大相撲小言場所


令和四年夏場所展望〜若隆景の真価が問われる場所に〜

 先場所新関脇で優勝した若隆景は、今場所の成績次第で来場所は大関昇進を賭ける場所になる。先場所の優勝がフロックでなく実力であることを示すには、今場所は10勝以上したいところだ。先場所休場した横綱照ノ富士がどれだけ膝の持病を回復しているかがカギとなるだろう。
 そういう意味では優勝争いは今場所も予想がつかない。本命は御嶽海あたりか。しかし先場所も下位に取りこぼす悪癖が見られた。下位力士から確実に白星を取っていかなければ、優勝は難しい。先場所終盤で盛り返した正代が、その勢いを序盤から発揮したら優勝争いに加われるだろう。先場所前半は自信を失っていたような感じだったので、後半の相撲で自信を取り戻していたら、優勝の可能性はあるだろう。貴景勝は体をうまく使い切れていない相撲が続いている。これは大栄翔にも言えることだが、強い時と弱い時の差がはっきりと出る押し相撲の宿命かもしれない。そういう意味では貴景勝には前まわしを取って拝み押しをする技能を身につけてほしいところだ。
 ダークホースとしては阿炎か。先場所は辛うじて勝ち越したが、出足が一時と比べると弱くなっているように思われる。連続して優勝を争った時のような相撲が取れると、優勝争いにも残れるだろう。
 伸び盛りの琴ノ若にも注目したい。こちらも2場所連続で優勝争いに加わった。馬力もかなり強くなっており、祖父の琴桜の前進力と父の琴の若の粘り強さがうまくミックスされたら、今場所以降も活躍することが期待される。
 先場所惜しくも優勝を逃した高安は今場所こそという思いがあるだろう。もともと大関だったわけで、実力は折り紙つき。今場所は再大関に向けてその実力を発揮してほしい。高安の場合、精神面の問題で優勝をたびたび逃しているのだから、課題ははっきりしているのだ。
 再入幕の翠富士にも期待したい。新入幕時の肩透かし旋風をもう一度見せてもらいたい。
 毎場所混戦が続く。先場所のように白熱した優勝争いになることを期待している。

(2022年5月7日記)


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